最近は すっかり定着した感があり、かっこつけて「うちはガチンコ・スパーだから。」とかいう人も多いですけど、私は この言葉に陰湿なイメージがあって嫌いです。
おそらく、「真剣勝負」とか「ハード・スパー」という意味で使っているのでしょうけど、私の知る限りでは、この言葉は古き良き時代のプロレス界の隠語で「相手を壊す(ケガさせるまでやる)」というニュアンスがあるからです。
そもそも「真剣勝負」は、「やるかやられるか」の命のやり取りのことですから、練習でいつもやってるの?って話です。
アメリカでは「shoot」、日本では類義語で「セメント」という言葉が使われます。
「ガチンコ」は、この「セメント」の派生語になると思います。
例えば、実力の無い若い選手が人気だけ出て、控え室で鼻が高くなっていると、中堅の門番みたいな選手が試合で「しめて」やろうとなり、関節を極めて、普段はそこでギブアップさせるのに、わざとそのまま折っちゃうとか…。
「shoot」は、そういう行為だけでなく、そういう選手のことも意味し、一見地味だけど怒らすと恐い選手に「あいつはshootだ。」と言ったりします。
関節技や絞め技で使われる事が多いため、UWF(プロレス団体)が出現以降、プロレス雑誌で使われ始め、格闘技界に広がりました。
さらにはTV番組の影響で、一般にも・・・。
「shoot」は現在の「修斗(総合格闘技)」の語源になった言葉でもありますが、最初の競技名の「シューティング」は、後に漢字に改められました。
おそらく、こういった悪いイメージを払拭する意味もあったかと思います。
ただ、スパー(自由組手)は、お互いの技術向上が目的で、ケガのさせっこではないと思います。
ケガをすれば、稽古を休まなければならない。
ケガが恐くて、フォームが崩れる。
稽古段階でダメージをためて、試合で打たれ弱くなる。
等のマイナス面も大きいです。
ひたすら、剥きになってフル・スパーを行ってケガばかりしてるのを自慢気に「うちはガチンコ・スパーだから。」って言ってるのを見ると、何かレベル低いなと感じてしまうのです(個人的感想です)。
言葉は生きているので、時代と共に意味合いも変化しますから、今は間違いではないのかもしれませんけどね。
ちなみに「ガチンコ」は意識的に行う場合で、単に下手くそで、事故的に相手をケガさせちゃう事は「しょっぱい」と表現します。
だから、上記のような方たちは、恥かしそうに「しょっぱい試合で すみません。」と言うのが本来の使い方だと思います。
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